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セキュリティトークン市場、成長ペース加速の兆し──日本企業も整備進める | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン

米セキュリタイズ(Securitize)による先日の巨額資金調達ラウンドは、セキュリティトークンが復活の準備万端というサインなのかもしれない。

そうだとしたら、より多くの非公開企業が従来型のIPO(新規株式公開)を避けて、ブロックチェーンテクノロジーを使って、資金調達プロセスをデジタル化するようになるだろう。業界関係者の中には、この先4年間で、セキュリティトークンによって調達される資金の合計額が6倍になると予測する人たちもいるほどだ。

セキュリティトークン(Security Token=ST):非中央集権的に管理できるブロックチェーン上で、社債や株式、不動産などの有価証券をデジタル証券として発行・流通する仕組み。

セキュリタイズ:デジタル証券(セキュリティトークン)の発行から流通までを可能にするプラットフォームを開発する米企業(本社・サンフランシスコ)。三菱UFJ、SBIホールディングス、野村ホールディングス、ソニー・フィナンシャル・ベンチャーズ、三井住友信託などの日本企業も出資している。

トークン発行によって非公開企業の資金調達をサポートするセキュリタイズは21日、4800万ドルのシリーズB資金調達ラウンドを完了させた。モルガン・スタンレーの関連会社とブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)が同ラウンドを共同で主導した。

関連記事:デジタル証券のSecuritize、50億円超を調達──モルガンが主導、日本企業が参画

2017〜2018年の暗号資産ブームで喧伝された程の盛り上がりを見せることのできないニッチな存在であったが、セキュリティトークン業界がついに、世界的規模で軌道に乗ろうとしていると、発行者と投資家からの力強い需要を理由として挙げながら、CoinDeskが取材した複数の企業が語った。

セキュリティトークンは、株式や債券などの従来型投資プロダクトのデジタル化されたバージョン。この業界が、この先5年間で暗号資産の市場規模を上回ると見込む人たちもいる。

セキュリティトークンマーケットプレースのArea2Investによると、世界的なセキュリティトークン市場規模(調達資金ベース)は1年で56.9%成長し、2025年までに30億ドル規模に達すると見込まれる。

「2年前には、セキュリティトークンマーケットプレースにはインフラがなかった。認可を受けたプラットフォームも、ブローカーディーラーも、トランスファーエージェント(名義書換代理人)も存在しなかった」と、ニューヨークのディレンドルフ法律事務所でデジタル資産や暗号資産専門の弁護士を務めるマックス・ディレンドルフ(Max Dilendorf)氏は語る。

「米証券取引委員会(SEC)は、セキュリタイズをトランスファーエージェントとして承認したが、このことは、飛躍に向けた業界の準備が整ったサインの1つだ」

IPOを回避

セキュリティ・トークン・オファリング(STO)は、非公開企業が非公開のままでより長くとどまり、公開企業となる負担抜きで投資家ベースを拡大するためのチャンスを与えてくれると、支持者たちは語る。

「IPOは輝きを失ってきている。企業はより長期間、非公開のままでとどまっている。企業の価値の大半は、非公開で若い時に生み出されるものだ」と、セキュリタイズのCEO、カルロス・ドモンゴ(Carlos Domingo)氏は述べる。

暗号資産ウォレットを提供するエクソドス(Exodus)は5月、セキュリティトークンを使って、7500万ドルのクラスA普通株公開を完了させた。

これは、SECが規則Aの上限を引き上げ、企業が12カ月間で最大7500万ドルの資金を調達できるようにした後に行われた。従来型の資金調達方法では通常、公認の機関投資家のみに投資が許されている。

デューデリジェンスが必要

しかし、すべてのセキュリティトークンが上質のものという訳ではない。

「投資家は、投資への利益見込みをもとに判断を下している」と、デジタルセキュリティの発行・管理のサポートを行うスタートアップ、ベルタロ(Vertalo)のCEO、デイブ・ヘンドリックス(Dave Hendricks)氏は言う。

「初期のセキュリティ・トークン・オファリングの多くは、マイクロファンド(時価総額が1000万ドル未満)であった。セキュリティトークンを発行することで、オファリングの基盤となる質よりも、セキュリティがどのようなフォーマットになっているかによって、興味のあるタイプの投資家を引き寄せられると考えられたようだ」

楽観的な予想にも関わらず、セキュリティトークンの幅広い普及には時間がかかると、市場参加者たちは警告している。

「セキュリティトークンの普及は、私たちが当初見込んでいるよりもゆっくりであった。規制上の評価や市場での普及には時間がかかるからだ」と、セキュリティトークン向けのブロックチェーンテクノロジーを提供するティーゼロ(tZERO)のCEO、サウム・ノウルサレヒ(Saum Noursalehi)氏は述べた。

それでも、成長の初期兆候は見られる。例えば、ティーゼロによると、同社のプラットフォーム上で取引されたセキュリティトークンは2019年には500万ドルであったのが、2020年には5400万ドルへと増加し、発行者の関心は増している。

アクティビティの高まっているプラットフォームも存在しており、この先の可能性を示唆している。ディレンドルフ法律事務所によると、「主要企業が国際的規模で資金調達をしようと参戦してきており、10億ドル相当のトークン化されたセキュリティの取り組みが進行中」だという。

関連記事:野村・SBI・SMBC日興、セキュリティトークンでコンソーシアム

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:セキュリティトークン市場の成長予測(Area2Invest)
|原文:Security Token Market Shows Signs of Resurgence


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